外反母趾

外反母趾とは

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外反母趾とは、親指が変形し、小指の方へ曲がっている状態をいい、身体の中心線から見て、親指が外側に曲がっているために外反母趾と呼ばれています。
「外反母趾はハイヒールなどの靴が原因で起こる」とよく言われますが、実際には子供や男性にも見られ、多くは足の横アーチを形成している中足関節の靭帯が緩んでしまうことが原因です。つまり靴は二次的要因であって、足指の機能が低下して弱った足先がいつしか靴型に合わされてしまうわけです。

外反母趾が男性より女性に多い理由

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 なぜ、外反母趾は男性よりも女性に多いのでしょうか。一般にはハイヒールのせいだと言われていますが、実はこれは正しい答えではありません。なぜなら、まだ一度もハイヒールなど履いたことの無い小中学生の女子にも外反母趾が多発しているという、歴然たる事実があるのです。確かに、現代日本人は欧米人に負けず劣らず、長時間、靴を履き続けるようになりました。
 通勤時間を入れると、会社勤めのサラリーマンやOLは平均10時間以上もの間、靴の中で足を圧迫し続けている勘定になります。特にファッション性を重視した、指先の窮屈な靴を我慢して履いている女性は、男性以上にその影響を受けることはまず間違いありません。ただし、靴はあくまで二次的な要因に過ぎず、単に履物の変遷だけでなく、生活全体の洋風化、道路面や床面の変化など、足を取り巻くさまざまな環境が変化することによって、本来足がもっていた機能が徐々に衰えてゆき、その結果、足先が弱くなり、変形などの異常をもたらしているのです。
 ですから、最近横行している「靴を替えれば、足の痛みも治る。」という誤った考えは捨て、靴を買い替えるより先に、弱くなった足に正しい処置をしていくことが先決です。

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 それに、ハイヒールばかりを悪者にして、見過ごしていることがもうひとつあります。なぜ男性より女性の方が外反母趾が多いのか。実はそのもうひとつの理由は、男性と女性の筋肉の違いにも潜んでいるのです。
 一般に、男性より女性の方が筋力が弱いのは周知の事実ですが、にもかかわらず、重力は、男性にも女性にも、同じだけかかります。そのため、男性に比べ、女性の方がその負担を受けやすく、体を支えるのに必要な親指の力に頼るより、ついつい楽な足の指の付け根に重心を集中させてしまい、次第に親指の力が衰えて、退化と共に外反してくるのです。

外反母趾の5種類のパターン

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【1】 靭帯性外反母趾
足先の横幅(横アーチ)を支えている横中足靭帯(中足関節)が伸びたり、緩んでしまい親指が小指側に曲がる。

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【2】仮骨性外反母趾
親指の付け根の骨だけが異常に出っ張り、曲がったように見えるもの。

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【3】混合性外反母趾
靭帯性外反母趾と仮骨性外反母趾が合併したもの。

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【4】ハンマートゥ性外反母趾
生まれつき指がハンマーのように縮こまっていたり、上を向きすぎていたりする要素がある人に起こりやすいもの。

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【5】病変性外反母趾
病的要素(リュウマチ、へバーデン結節)や事故、ケガが加わり著しい変形や脱臼を伴っているもの。